ビビアントが大きくて飲み込みにくいです…
骨密度が低下して骨折のリスクが上がってしまう骨粗しょう症。
高齢化に伴い患者数は増え、一度骨折したら次々と骨折を繰り返し、著しく生活の質を落としてしまう可能性のある疾患です。
また、女性は閉経により女性ホルモン(エストロゲン)が欠乏するため骨粗しょう症に罹患するリスクが高くなります。
閉経後の骨粗しょう症治療に用いる薬の中で「SERM」という種類の薬があります。
この1種類であるビビアント…という薬を飲んでいる患者さんから錠剤が大きくて飲み込みにくい…との相談がありました。
クスリを半分に割って飲んだらいい?
同じような薬に変えてもいいのでは?
という疑問が浮かんだので、『薬局ですぐに役に立つ 薬の比較と使い分け100』
を手に取り、SERMの使い方を復習。。。
SERMの仲間…閉経後の骨粗しょう症に使う💊
〈共通した作用〉
骨代謝に関与するエストロゲンと似た働きをするが、骨では「エストロゲン」を増やし、乳房やほかの場所では「エストロゲン」を増やし過ぎない
→乳房や子宮などに悪影響を与えずに骨代謝改善効果を得ることが出来る
閉経後の早い時期から骨粗しょう症になった人に使いやすい
●エビスタ
最初に発売されたSERM
従来のホルモン補充療法による血栓症や乳がんのリスクを低減している
ジェネリック医薬品が存在する
●ビビアント
エビスタの骨折予防効果をより高めた改良品
非椎体骨折予防効果がエビスタより44%高いと言われている
骨折リスクの高い人でより効果的
(海外の臨床試験では、高リスク集団として…投与前の大腿骨頸部骨密度T-スコア -3SD以下、あるいは、投与前に1か所以上の中等度または高度の椎体骨折もしくは複数の椎体骨折を認められる集団…と設定されている。)
ビビアントとエビスタはガイドライン上での評価は同じ。
骨折をしないこと…を目的に飲まれる薬なので長期に服用する必要があることを考慮し、無理なく飲み続けることが出来る薬を選ぶことも必要で、費用対効果の視点で考えることも大切です。
★注意★
・乳がん治療に「アリミデックス」を使用している場合、SERMは使わないように注意喚起されています。
(SERMの併用によって「アリミデックス」の効果が減弱する可能性があるためです。)
・SERM服用中は深部静脈血栓症を起こしやすくなるため、手術などで長期間安静にする場合には自立歩行が出来るまで休薬する必要があります。
(入院や寝たきりの人は血栓ができやすくなっているので避ける必要があります。)
【今回の質問に対しては…】
ビビアントを半錠にした際の安定性を考慮すると…半分にするのであれば服用直前が良いと思われます。(患者さん本人に割ってもらうのは…ちょっと難しいかも…)
もし患者さんがハイリスクでなければエビスタへの変更を考慮し、ジェネリックの検討も行ってみるといいかもしれません。
まずは患者さんの背景や治療に対する考えなどをしっかりと聞いてみて、情報提供を行いながらその人にあった薬物治療が選択できるような手助けが出来ればいいな、と思います( *´艸`)