夜間頻尿…困ります…その謎に迫る!??
夜間1回またはそれ以上排尿のために起きなければならない訴え=夜間頻尿
在宅訪問に行った際に85歳の方から、最近夜中にトイレに行く回数が増えてね…と相談を受けた。
歳だから…
そうかもしれないけれど、夜中にトイレに行くのは転倒の危険もあって危ない!原因が分かれば解決できるかも…ということで夜間頻尿について調べてみた( ..)φメモメモ 【20060413 ラジオNIKKEI 薬学の時間より】
◆原因
①夜間多尿
・水分過剰摂取
水分摂取量が多く、日中は薄い尿を排泄しているものの、体内に水分が貯留
↓
貯留した多量の水分を夜間に排泄するため夜間多尿となる。
・高血圧
高齢者で夜間頻尿がある場合、
日中の血中カテコラミン値が高く、腎血流量が低下し尿生産量が必要量に
満たない状態になっている。
水分過剰摂取と高血圧のため体内の細胞外水分量の割合が増えて心臓に負担が
かかり、結果としてナトリウム利尿ペプチド(HANP、BNP)が上昇する。
↓
夜間、就寝中にカテコラミンが低下すると腎血管抵抗が低下
腎血流量が増え、上昇しているHANP,BNPの作用もあって尿の産生が増加
夜間多尿の状態となる。
そのほか
・加齢に伴う腎鶯宿脳の低下
・うっ血性心不全
・糖尿病
・尿崩症
・カルシウム拮抗薬
・寒冷刺激
・抗利尿ホルモンの日内変動消失
★これらの多くは日中も頻尿である。
②膀胱容量の低下
・高血圧
脊髄の排尿反射求心路にはアドレナリンα1D受容体がある
血中カテコラミンも排尿反射求心路の脊髄内α1D受容体に作用している
高血圧で血中カテコラミン高値の状態が持続すると常に尿意が早く出現する
↓
膀胱容量の低下が起こる
・睡眠障害
高齢夜間頻尿では睡眠物質であるメラトニンが極端に低下している
↓
睡眠が浅い状態で、少しの尿意で目覚めてしまう
=尿意覚醒閾値が低下している
・脳脊髄機能障害
脊髄の抑制系介在ニューロンであるグリシンニューロンの活動低下
(血中グリシン濃度の低下)
↓
排尿反射の求心路の抑制が不十分で頻尿になる
そのほか
・萎縮膀胱
・過活動膀胱
・残尿の存在
・早めに排尿する習慣による膀胱容量の低下
★これらの頻尿となる原因は夜間頻尿のみの原因とはならない
◆治療
・原因と知るために排尿日誌をつける
自分の生活を客観的にとらえて自らたいしょほうを考えることが出来る
・運動療法
夕方以降の30分以上のウォーキング
(浮腫率の低下やカテコラミンの低下がみられる)
睡眠に対しての効果も加味できる場合がある
・前立腺肥大がある場合…ナフトピジル(α1D遮断効果が強いため)
・フラボキサート…脳幹に作用し脊髄の抑制グリシンニューロンを活性化する
・膀胱訓練…尿意を我慢して膀胱容量を増やす
血液をサラサラにするため、と多量の水分摂取をしている高齢者が多いため注意が必要。
1日2リットル以上の水分摂取を1週間続けても、早朝の血液粘調度に変化はなく、日中と夜間の排尿回数を増やしただけ、という調査結果もある。
脳梗塞などの虚血性脳血管障害が多く発生する時刻は早朝や午前中が多いので、脳梗塞予防に水分摂取をするのであれば朝起きた時が良い。
なるほど…今回の患者さんも高齢であり、最近血圧が上がってきた、と言われていたので原因としてはいろいろ考えられることがある…
排尿日誌の記録は難しいかもしれないけれど、今度訪問した際に、どのような生活をしているのか、ということをしっかり聞き取ってみてもいいかもしれない。
便秘予防に…口が乾くから…と
水分過剰摂取の高齢者はたくさんいる気がするな。。。
もし、ここに薬が関連して悪さしているなら薬剤師として成敗しなければ!!!
そして…可能であれば…運動療法を勧めたい!!!