ふっとなる…ってどういうこと???
プライマリケア認定薬剤師の研修会で学んだ内容…明日から活用するためにまとめなきゃ!ってことで…患者さんのつぶやきを攻略しろ!つぶやきに潜む循環器疾患を見逃すな…より♪
高齢者が「この前、ふっとなってん…」とつぶやいたら…
ふっとなる→倒れる、倒れそうになる→失神を想起したい!
失神と間違いそうになるけど意識障害とは違うもの。
失神とは…
・一過性に完全に意識をなくすこと(意識消失)
・突然発症する
・短時間で完全に元に戻る(すぐ気が付いて元通りなんともない)
意識障害とは…
・意識がなくなった後はいつものレベルではない意識が続いている
・通常の呼びかけ、刺激に対して反応が鈍い状態が続いていること
・鑑別の際には
A(アルコール)
I(低、高血糖)
U(尿毒症)
O(薬物中毒、低酸素)
T(外傷、低、高体温)
P(精神疾患)
S(痙攣)
人が失神するためには…
①脳への全血流が一過性に低下する必要がある
(6~8秒脳循環が遮断される)
②または一過性に収縮期血圧が60mmHgまで低下する
人は誰でも失神する可能性がある(年間0.6%の割合でみられるといわれている)
失神は原因によって予後が大きく変わる
①神経調節性失神(迷走神経反射)…予後がよい
②起立性低血圧
③心原性失神…予後が悪い
★失神は問診で勝負をつける!!!
【失神の病態】
①神経調節性失神
・朝礼で倒れてしまうような症例
・「血管迷走神経反射」が代表
・なにかのきっかけで交感神経↑
→心臓左心室過収縮(空打ち状態になる)
→左室に圧がかかって血圧上昇と誤認識
→血圧を下げなければ!と勘違いする
→迷走神経↑
→脈拍低下 血圧低下
→倒れる
きっかけ=驚愕、怒り、笑い、苦痛、咳、立ちっぱなし、嘔吐、排尿排便
食後 空腹時に一気に早食いしたとき、頸動脈洞症候群
◎倒れる寸前に嘔気や不快感、倒れて回復するときに多量の発汗を認めることも。
◆失神か痙攣かを問診で考える場合
Historical Criteria という指標があります。…点数が高いと痙攣の可能性が高い。
②起立性低血圧
・起立後3分以内に急激に血圧が下がる
原因:出血、貧血、脱水、熱疲労、感染、自律神経失調症、薬剤など
前駆症状がある
発汗、めまい、ふらつき、嘔気、筋力低下
◎目の前が真っ暗になって奈落に落ちるような感じ
★糖尿病、パーキンソン病など自律神経の異常を伴う基礎疾患がある場合
→立位直後でなくてもふっとなることがある
・原因薬剤は様々
特に高齢者では薬剤が重要となる…ポリファーマシーの影響あり
★高齢者では起立性低血圧が増えてくる
・起立性低血圧を疑った場合は原因について考えることも大切
例)出血…消化管出血を疑う症状、婦人科疾患
③心原性失神
・心原性失神患者の年間死亡率…約20~30% 極めて予後不良
・失神の瞬間に心電図をとることができない→高リスク因子注意
心電図異常、高齢、バイタル異常(血圧、脈拍低下、SpO2低下)
・問診でのチェックポイント
心疾患リスク(虚血性心疾、弁膜症、突然死の家族歴)
寝ているときの発症(重力の影響がない)
労作時発症
前駆症状が0~5秒くらいしかない失神
胸痛、動悸、息切れの合併
心電図異常
高齢
★若くても家族歴、興奮、恐怖、運動、ストレス注意
・ICD(埋め込み式除細動器)…誤作動がありうる
ふっとなる…この一言から患者さんに何が起きているのか…それを想起するための知識がたくさん詰まった講義を受けることができました!
患者さんの背景までしっかりと理解して支援するために…患者さんの話をよく聞いて、情報を整理して知識の引き出しからあてはまるものを思い浮かべることができるようにしなくちゃ( ..)φメモメモ