乳がん治療…私たちの出来ること…
がん治療の進化は著しい。20年前には解明できていなかったことが明らかになり、治療方法、治療薬も大きく変化していっている。
しかし、抗がん剤治療に関してはどうしても副作用が伴ってしまう。。。
それをいかにフォローして薬物治療の効果を期待しているものに近づけるか…
2人に1人ががんに罹患する時代だからこそ考えなくてはいけないと思う。
薬局に持ち込まれた処方箋に記載された薬剤の持つ意味、患者さんに何が起こっているのか、私たち薬局薬剤師がどういった目線を持つ必要があるのかを直庭なめればならないと思った。
◆乳がん AC療法
【悪心嘔吐】
・デカドロン、イメンドが処方されていたら「高催吐リスクのレジメン」である。
→AC療法またはEC療法の患者さんかもしれない…
急性:投与直後から起こるので1~1時間半前にイメンド125㎎服用
遅発性:投与24時間以降。2日目以降 午前中にイメンド80㎎、デキサメタゾン
予測性:次クール前。抗不安薬で対応。最近はあまりない。
・催吐リスクに応じた制吐剤を使用することで発症予防をすることが大切。
高リスクであれば4日間ぐらいしんどいことがあるのでその間デキサメタゾンの
服用を考慮することも必要だが、ガイドラインを元に個人別に対応することが必要
・制吐剤の特徴を理解して、症状を適切にアセスメント(時期、性状、程度)すること
★制吐剤の頓服が処方されていた場合、我慢せず必要に応じて服用してもよいことを伝える!!
★自宅での嘔気の有無、経口摂取の状況を確認する。
【発熱性好中球減少症(FN)】
・がん化学療法で注意すべき副作用の一つで発熱を伴う好中球減少症。特に重篤な
感染症を引き起こし死に至ることもある。
好中球500/μL未満 腋窩温37.5度以上
・投与後2週間くらいで白血球が減少しきったころに発症すること危険性あり
・MASCCスコアでリスク分類を行って対処
高リスクであればG-CSFの一次予防投与を行うこともあるが、低リスクの場合は
抗菌剤の予防投与から。
抗菌剤はニューキノロン系かアモキシシリン
ニューキノロンではQT延長の報告もあるのでアモキシシリンのほうがよい?
発熱した場合、手持ちの抗菌剤の服用開始かすぐに受診かは患者による。
抗菌剤48時間服用して解熱すれば5日間飲み切り。解熱しなければ受診。
★予防的に投与された抗菌剤を風邪薬、と思い違いをして、発熱しても服用せず様子を見てしまう場合もある。薬識の確認とFNへの理解を促し、支持療法に使われる薬の適正使用を指導する。
【がん治療関連心機能障害(CTRCD)】
・アントラサイクリン系抗がん剤は蓄積性で不可逆的な心筋障害を起こす
累積投与量 ドキシソルビン換算で450㎎/m²を超えたら心エコー実施
・タキサン系も心機能障害は注意
★とくに高齢者では息切れの程度を確認
◎薬局に処方箋が持ち込まれたときは以下のことをチェックする
・頓服使用回数の確認
服用タイミング=つらいとき。我慢せず服用してQOL低下を起こさないように。
・症状変化について
時期・頻度
副作用かどうかのは発症時期による
◎患者の自覚症状がある副作用
悪心嘔吐
過敏症
発熱
頻脈
呼吸困難
下痢
脱毛
末梢神経障害
◎検査値でわかる副作用
白血球減少
血小板減少
肝腎障害
患者さんはこれから自分にどういったことが起こるかを知りたいと思っていることが多い。
薬剤師は治療の全容について理解し、現在患者さんに起きていることをしっかりと見極めること、自分で気づいてもらえるポイントを伝えて早期発見につなげること、そして…少しでも不安感を和らげることができるような声掛けができるよう心がけたいと思います( *´艸`)