女性特有のがん~子宮がん(頸がん、体がん)
同じ女性として子宮がんを理解しておくことの意味を考えてみた。。。
地域の健康をサポートするする薬局薬剤師として、
AYA世代や女性特有の不安を受け止め患者に寄り添うこと
吐き気止めなどの副作用予防について話ができること
副作用などの知識を身につけ、患者が早期に異常を察知できるように指導すること
これらを目的にまとめてみた。(クレデンシャル 10月号より)
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◆子宮頸がん
・発症は若年齢化しており、30歳代がピークとなる
・HPVの持続感染により子宮頚がんの前段階である異形成が生じてがんへと進行する
・頸がんの初期治療は手術か放射線療法が基本
ごく初期であれば円錐切除術で妊孕性を温存できる
ⅠB期以上の進行がんは子宮全的術あるいは同時化学放射線療法(CCRT)推奨
CCRT=通常より低用量(40mg/m²)でシスプラチンを放射線照射前に投与
することで放射線に対する感度を高める
注)子宮や卵巣を残すことはできるが、放射線により卵巣機能が根絶する
ため人工閉経状態となる
治療後20~30年経って直腸炎や膀胱炎を生じる晩期障害がある
・再発高リスク(リンパ節転移あり)での術後単独化学療法もある
シスプラチンがキードラッグ
+パクリタキセル→TP療法
またはパクリタキセル+カルボプラチン(TC療法)
注)シスプラチンは腎障害予防のために補液(3L/日以上)必要=入院
カルボプラチンは補液不要
ベバシズマブ(アバスチン)…血管新生阻害薬
→高血圧、出血、創傷治癒遅延注意
+TC療法=再発子宮頸がんの治療
◆子宮体がん
・卵胞ホルモン(エストロゲン)に長くさらされることがリスクとなる
・進行が緩やかで不正出血がきっかけで見つかることが多い
・子宮全摘術がほとんど。腹腔鏡下手術も保険適応となっている
・高リスク群
AP療法(アドリアマイシン+シスプラチン)
TC療法(パクリタキセル+カルボプラチン)
DP療法(ドセタキセル+シスプラチン)
・進行がん
TC療法
DP療法
TAP療法(ドキソルビシン+シスプラチンパクリタキセル)
・妊孕性を期待する場合
子宮内膜掻把
+黄体ホルモン製剤(メドロキシプロゲステロン酢酸エステル)大量投与
→食欲亢進による肥満リスクあり
または黄体ホルモン放出システム(ミレーナ)
◎副作用
・タキサン製剤
投与2~3週間後に必ず脱毛
治療終了後3~6か月で髪の毛は再度生え始めるが産毛のようで毛質は変化する
(元に戻る…とは言わない。ほぼ回復するには8か月~1年程度かかる)
・悪心嘔吐…「制吐薬適正使用ガイドライン」に沿って完全にコントロールする
予防対策…アプレピタント、5-HT₃受容体拮抗薬、デキサメタゾンを使用
食欲不振がある場合は管理栄養士の助言も必要
・抗がん剤 静脈投与の際は血管外漏出注意
・アルコール不耐性注意…溶解補助剤としてエタノールが使用されているものがある
パクリタキセル…3週間ごとの治療でビール約500mlに相当
ドセタキセル…3週間ごとの治療でビール約50ml(コップ半分)
・アレルギー
カルボプラチン…投与8回以上で発症頻度増加(繰り返し投与注意)
Grade2以下であれば脱感作療法で治療継続可能)
・末梢神経障害
タキサン系
パクリタキセルの用量制限因子
手のひらや足の裏全体にしびれが発生する
橋が使いにくい、ペットボトルの蓋あけにくい、リモコン操作がしにくい
文字が書きにくい、歩きにくい、つまずきやすいなどの症状によりQOL低下に
つながっていないか注意。
★薬局薬剤師のかかわり
エマージェンシーへの対応
便秘、悪心嘔吐の評価、
発熱性好中球減少症、末梢神経障害、皮膚症状のマネジメント
やはり、長期にわたって継続する抗がん剤治療において、地域のかかりつけ薬局の薬剤師は、専門知識を相談相手として、早めに有害事象を発見して対処法などの説明ができるようにならなくては…
頻繁に使われる抗がん剤について、副作用と対処法を勉強して適切なサポートができるようになりたいものです( *´艸`)