誤嚥性肺炎を予防しよう!!
「誤嚥性肺炎」で入院して絶食状態が長引くと摂食が再開できず、胃瘻造設となり、QOLの低下につながってしまう…
この肺炎をいかに予防するか…Medical Noteに載っていた予防法をまとめてみました!
【食事介助の工夫】
・温かい食べ物は温かく、冷たいものは冷たくした状態で食べること!
常温が最も嚥下反射が起こりやすく、誤嚥を引き起こしやすい。
飲食物が冷たいほど、また熱いほど嚥下反射が惹起させるまでの時間が短くなる
・唐辛子、ミント、黒コショウを利用する
唐辛子…温かさを感じる受容体を活性化する
ミント…冷たさを感じる受容体を活性化する
黒コショウの臭いによって大脳頭皮質の血流が上昇し、嚥下反射が素早く起こる
★作り置きなどで温度刺激を与えられない場合に上記の調味料の使用がオススメ!
【姿勢の工夫】
・顎を引く
顎を引くと喉頭が持ち上がり、喉頭蓋が下がりやすくなるため、食べ物が喉頭や機関に落ちることを防ぐことが出来る
★「うなづき嚥下」と呼ばれ、誤嚥のリスクがあるすべての方にオススメ!
・状態を後ろに倒す
喉頭部に角度がついて食べ物が気管に落ちるのを防ぐことが出来る
★嚥下圧が弱いなど飲み込んだものが気管に入りやすい方にオススメ!
【食後の工夫】
・食べ物を逆流させないために、食後1時間半ほどは座った姿勢を保つ
入院中でも、食後すぐはベットに横にならず、座位姿勢で過ごす
【食べ方の工夫】
・よく噛み、1回1回飲みこんでから食べ物を口に入れる
・舌を動かす運動をしてから食事を開始する
舌は食塊を作り、咽頭に送り込むという働きがある。食事前のウォーミングアップとして舌を動かして覚醒させる
【アイスマッサージ】
・冷凍庫で凍らせた綿棒で口蓋弓を刺激する(温度刺激と圧刺激を与える)
【口腔ケア】
誤嚥性肺炎の原因は、口腔内の常在菌であることも。
口腔ケアを行うことで口腔レンサ菌を減らして誤嚥性肺炎を予防することができる。
また、口の中を刺激することで嚥下にかかわる大脳島皮質が刺激され、嚥下反射が改善する。
【食べ物の選び方】
・適切なとろみをつけ誤嚥を防ぐ
VF(嚥下造影検査)VE(嚥下内視鏡検査)により患者さんの嚥下障害のパターンを確認し適切な嚥下食を見極める
・パサつきのあるお菓子(クッキー、せんべいなど)ナッツ類は喉にへばりつきやすいため避ける
・餅やゼリーなどとのに詰まりやすいものは避ける
毎日取り組むことが出来ることも多いので、ちょっとずつでも声かけしていきたいな、と思います( *´艸`)
在宅医療について学ぶ(´∀`*)
在宅医療のエキスパートの講師陣による在宅支援の講義を聴くチャンスをいただき、医師、歯科医師、看護師、ケアマネ、薬剤師という多職種参加の研修会に参加!!
これからやってくる超高齢化社会…
外来通院が困難な高齢者をどのように支援していくか…
複雑化していく高齢者医療の問題にどのように関わっていくか…
在宅看取りでは、それぞれの職種の役割がある。
退院時カンファレンスに参加して、顔の見える関係を作る、家族の想いを知ること。
ケアカンファレンスで多職種の意思統一を行うこと。
患者、家族との意思疎通を大切にすること。ACPも重要になってくる。
がん緩和ケアでは、症状コントロールと介護環境を構築することが大切。
疼痛に限らず症状を緩和する…のは通常の診療でも行われていること。
介護環境の構築には多職種連携は必須。
介護上の不安を和らげるためには、介護力を評価し、見守りの目を持つことも必要。
本人、家族の希望があれば出来るだけ在宅で過ごせるように…
家族がしっかり患者さんを「看ること」で満足のいく最期の時間を過ごすことが出来る。
多職種でその支援が出来れば…
なんのための在宅医療なのか?
患者さんが望む場所(自宅)で最後まで過ごせること、在宅看取りはあくまで結果である。
「死ぬとはその時まで生きること」
より良く生きて、より良い環境で過ごすための支援が出来るのも多職種連携がなくては成り立たない。
誤嚥性肺炎で入院したら命は助かるがQOLは低下する場合が多い。
「いつもと様子が違う」「重症感はないんだけど…」そういうちょっとした変化も見逃さないように。
予防のポイントは、口腔ケア、栄養、予防接種。
特に口腔ケアを行って、口の周りの廃用予防をすることで「最後まで口から食べる」ことが出来る!
口腔内乾燥を防ぐ、口の周りの筋肉をほぐす、しっかり声を出して話をすることも日々取り組める予防です!
心不全の在宅管理では重症化を繰り返さないように支援することが大切。
水分、塩分摂取制限。服薬の遵守。早期からの緩和ケアの導入もポイントとなる。
心不全連携パス…安心ハート手帳…の活用は多職種の連携にも役立つ。
いろいろな症例を通してのグループディスカッションで他職種の方の目線を知ることができ、私たち薬剤師が出来ることが何なのか…を考えるきっかけにもなりました(^-^)
朝から晩までの長丁場でしたが、ACP、心不全、緩和ケア、フレイル、サルコペニアなど今まで勉強してきたことが繋がり理解が深まる時間でした(´ー`)
私にとっては入院加療していない人はみんな在宅医療をしている患者さん!
生活の場ではキュアよりもケアが重視されることも多い。
日々やりがいをもって薬剤師やっていきたいなぁ〜(´∀`*)
高齢者のお薬を考える…( ̄∇ ̄)
高齢者のお薬を考える会〜(^-^)
毎月恒例になりつつある学びの時間♫
今日の症例も現場で出会うかもしれないとドキドキする内容で…早速明日から注意喚起しなくては!と心に誓いました(^◇^;)
①何か症状がある時に「高齢者だから…」と決めつけるのではなく、患者さんの訴えをよく聴き、病態の変化に目を向け、薬剤師として患者さんの生活をモニタリングしよう!
そして…気になることがあれば多職種に情報提供しよう!
②ずっと同じ処方が続いていても何かしらの違和感を感じることがあったら気にしておくことが大切!
長い期間見ている患者さんであれば変化に気づくことも出来る!
数値の改善だけにとらわれることなく患者さんの全体像に目を向けよう!
患者さんの訴えを聴くことで、どれだけの情報を吸い上げることができるのか…
どんなに忙しくても、患者さんの想いに耳を傾けることの出来る大事な時間だということを忘れてはいけないな〜(´ー`)
クスリが患者さんの生活に支障を来さすことのないように…
専門性を活かしながら門番的な役割をするのも薬剤師なのかもしれません( ̄∇ ̄)
注射をした後の対応…なるほどです!
注射…実は大の苦手…採血するときも絶対に見ることが出来ません…
でも、注射は医療現場では避けて通れない…
注射後に薬局を訪れた方からの質問に答えるヒントが日経DIにあったのでまとめてみました。
★静脈注射や採血など、静脈に注射針を刺した場合は「5分間しっかり押さえて止血」が基本!!
静脈注射や採決時の出血は、皮膚だけでなく、静脈まで傷ついているため、しっかりと押さえないと内出血を起こしてしまう。
擦り傷と同じように見えて出血量が少なくても傷が深い!
血管壁が傷つくと血小板や凝固系が活性化し、血管を収縮して止血しようとする。
きちんと圧迫しておけば血小板凝集が早く、止血までの時間も短くなるので内出血を起こさなくてすむのです!!
ちなみに…注射後にもむのは筋肉注射だけ。静脈注射の際にもんだら止血の妨げになり、内出血を起こしやすくなる!
インフルエンザ予防接種などの皮下注射も、揉まずに押さえるだけが正解!!
なるほど…
注射が苦手過ぎて注射後押さえすぎている感のある私ですが…患者さんにはきちんとしたアドバイスをしたいと思います。
特に、抗凝固剤を服用している人にはしっかりお話ししたいと思います(*^^*)
息苦しい…そもそも呼吸って?…の巻!
COPD を罹患している方の多くが抱える「息苦しい…」という症状。
以前、呼吸器内科の先生からCOPDの終末期について「誰か空気を…と苦しそうに訴えられますが、出来ることは限られています。」という話を聞いて、絶対にタバコは吸わない!と心に誓ったことが忘れられません。
息苦しいってどういうこと?そもそも呼吸って?…
『医師ともっと話せるようになるための臨床医学知識』
より ”呼吸器の仕組みを理解する” の部分を読み返し、まとめてみました( ..)φ
◆呼吸の過程
①換気…気体が気道を介して外界と肺胞の間で移動すること
外気が気道を通って肺胞に到達し、その逆に血液中のCO₂は肺胞から気道を通って気道を通って体外に出ていく
②拡散…O₂、CO₂が肺胞と肺毛細血管の間で濃度(分圧)勾配によって移動すること
肺胞⇒血管 O₂移動は濃度(分圧)勾配を利用している
③運搬…O₂、CO₂が血流によって肺と末梢組織の間で移動すること
血管⇒末梢組織 O₂移動も拡散を利用している
★O₂濃度:外界>肺胞>血管>末梢組織
呼吸はこのすべてが連携していないと成立しないため、O₂不足で呼吸が苦しいということはこの3つのうちのどこかが破綻しているということになる!!
例)細菌性肺炎…拡散障害(肺実質の炎症によりO₂拡散ができない)
喘息発作(重症)…換気障害(気道炎症による閉塞で低換気になる)
COPD…換気障害(気道炎症による閉塞で低換気になる)
貧血…運搬障害(ヘモグロビンの低下により血液のO₂運搬能が低下する)
肺塞栓症…運搬障害(肺動脈の閉塞が血流を障害してO₂運搬を妨げる)
うっ血性心不全…拡散障害(肺うっ血による血管から肺胞へ水が浸出しO₂拡散を妨げる)
間質性肺炎…拡散障害(間質の炎症によりO₂拡散が妨げられる)
気道閉塞…換気障害(異物や浮腫による閉塞が低換気を起こす)
ショック…運搬障害(血管拡張や大量出血による血流低下がO₂運搬能を低下させる)
一酸化炭素中毒…運搬障害(HbがCO₂と結合するためO₂運搬能が低下する)
◆CO₂蓄積の有無
CO₂はO₂より約20倍拡散しやすい
呼吸不全によりCO₂が蓄積する原因は「換気障害」(COPD、気道閉塞)
CO₂蓄積ナシ=I型呼吸不全 CO₂蓄積あり=Ⅱ型呼吸不全
●PaCO₂(動脈血二酸化炭素分圧) 40±5Torrより高い場合はCO₂蓄積あり
→拡散障害や運搬障害はない(肺炎、肺塞栓症はない)
★COPDはCO₂が蓄積したⅡ型呼吸不全
◆呼吸のコントロール
随意的呼吸(深呼吸、水泳時) 大脳皮質⇒呼吸中枢⇒呼吸筋
不随意呼吸(睡眠時) CO₂…延髄 中枢化学受容体
O₂…頸動脈小体や大動脈小体の末梢化学受容体
通常はCO₂モニターが優位(CO₂が軽度に体内にたまると呼吸する)
★COPDは換気障害でCO₂が吐き出せず常にCO₂分圧が高い状態になっており、呼吸中枢がCO₂を指標にして不随意呼吸を制御できなくなる
→変動モニターがO₂モニターに切り替わっているため、呼吸不全でO₂投与を急速に行い、不随意呼吸をコントロールしていたO₂モニターがO₂が充足していると判断して機能しなくなり、呼吸が抑制される
さらにCO₂が溜まってしまうと、CO₂ナルコーシスという病態になる。
CO₂には麻酔作用があり、高濃度になると頭痛、意識障害、呼吸回数減少と進んでいき死に繋がっていく。
◆胸水と肺水腫
胸水…胸膜腔に通常の漿液量を超えて水が溜まっている状態
量が多いと肺が押されてしぼんでしまうが肺の外側の問題なので少量であれば経過観察することもある。
肺水腫…肺胞の中に水が染み出てきて水がたまる状態
拡散障害となり呼吸不全に原因となる(うっ血性心不全)
◆COPD患者と消費カロリー
COPD患者はうまく吐けなくてはいないの残気量が増え、横隔膜と外肋間筋では十分空気を取り込むことができないため、通常、深い呼吸のときにしか使用しない胸鎖乳突筋を使う。(外観でわかるほど発達していることあり)
吸気=呼吸筋の収縮(ATPを消費)呼気=呼吸筋の収縮(エネルギー消費は極少量)だが、COPD患者は吐くのに苦労することで通常よりエネルギー消費が高くなり、通常の1.2~1.5倍くらいカロリー消費が増えてしまう。
COPDでは、肺が過膨張となり胃を圧迫して食欲低下、食事の呼吸の乱れや誤嚥のため食欲低下し痩せてしまう。
なるほど…普段意識せず行っている呼吸…生きていくために必須であり、体の中で上手にコントロールされていることがよくわかりました。
COPDという病態により、そのバランスが崩れることでいろいろな不都合が起きてくる…
病気が進行しないように吸入をしっかりと継続する必要性もきちんと伝えていきたいと思います(*^^*)
高齢者とのコミュニケーションを考える(^^)/
当薬局は高齢の方の来局が多いなあ…
高齢期には日常生活の自立を目指した身体機能の強化・維持が重要とされ、生活上のアドバイスを適切に行うことは薬剤師の役割でもあります。
そして、薬局では単に薬の説明だけでなく、生活上の課題を見つける能力が必要となります。
手元にあった『T-CARE NCD for Pharmacist 2017.7』に高齢の生活習慣病患者さんとのコミュニケーションの特集が組まれていたのでまとめてみました!
【薬局窓口にくる高齢者への”生活振り返り”アクションチャート】
①その患者さんお病気と治療薬について知る
薬のプロフェッショナルとして、自信と責任をもって話す
患者さんの病気、病態、処方薬を把握して正しくわかりやすく説明しよう!
(薬剤師にとっての基本のキ…ですね!)
日々勉強し、たくさんの人とふれあい、知識と経験を積み重ねてよう!
例)患者さん自身にお話ししてもらうような聞き方をする
病気や治療についての不安や心配事を話しやすい雰囲気を作る
②その患者さんお身体的状態を知る
よく観察し、時には体調や状態把握のために触れてみる
患者さんの言葉に耳を傾け、様子をよく観察し、必要があれば了承を得た上で
実際に体に触れてみる
(お薬をもらいに来ている病気以外の不調や問題を見逃さないように!)
例)臭い…口臭、便臭、体臭→口腔内環境などを推測する
皮膚の乾燥、目やになどにより消耗性疾患の存在を見逃さないようにする
聞こえにくいのか、理解が困難なのか確認する
患者さんにさりげなく手を貸すことで痩せ具合や寒くないのに厚着をする
などの認知機能の低下に気づくことが出来る
③その患者さんの(かつての)職業を知る
その方の人生観や価値観に寄り添う
高齢者を一律に見ず、一人ひとりに「それぞれの人生」があることを忘れずに!
人生観や価値観は病気や治療への向き合い方に大きく影響する
★コミュニケーションの入口は互いの共通する話題から…が基本。
就職、結婚、子育て、旅行、趣味、スポーツ、ボランティアなど
例)経営者、管理者…上から目線にならないように。根拠を示しながら論理的に説明するほうが納得を得やすい。
職人…生活リズムが通常の生活リズムと違うことが多い(食事時間など)
教育者…学習意欲がある方が多い。認知機能低下があっても現役時代のように声かけすると背を伸ばし返事をしてくださることも。
医療関係者…クスリや健康に関して意識が高く、しっかりとした説明が求められる
生産者…重労働や不安定な死背の仕事で股関節、膝への負担を抱えている場合がある。筋力低下予防のためのたんぱく摂取、負担の少ない体の動かし方などの情報提供を行う
専業主婦…それぞれの生活スタイルを聞き出す。地域とのつながりが強い方からは地域の状況について教えていただける場合あり)
④その患者さんの今の家族・環境を知る
ご本人だけで終わらせない
誰とどのような生活をしている?キーパーソンは誰?一緒に薬局に来られた方にも声をかけよう!
ご家族やサポート者の体や心の負担についても意識して、労いの声かけをしよう!
例)独居?老々介護?大家族?日中は一人きり?…「ご飯を食べるときは誰と一緒ですか?」
日常的に相談したり、様子を見てくれる人がいる?…「買い物に行くときは誰と行きますか?」
介護サービスなどの利用は?…「自宅にヘルパーさんが来たりしますか?」
⑤その患者さんの日常生活を知る
毎日を生き生きと過ごせているか
ADL。QOLを保つため、フレイル予防や進行抑制が重要
例)「食事はおいしく食べていますか?」の確認
趣味の有無、継続しているかの確認
運動に見合った栄養素や水分がとれているかのチェック
社会との関わりを持っているか(地域とのつながりや生活、考え方を知る)
薬剤師は昔から薬を通じて生活に密着した相談に乗っていた歴史があります。
医療支援に加えて生活支援が可能な立場…患者さんの生活における様々な問題を医療支援の情報と生活支援の情報をもとに他職種との連携に有効につなげていくこともできます。
つまり…生活と医療の橋渡し役!!でもあります。
患者さんは自宅に帰れば一人の「生活者」…生活の中でどう病気と向き合い、どう治療と向き合っていくのか。
様々な不安を減らして薬を飲み続けたり、健康管理をしていただくために生活支援を行うこと…それこそ『薬剤師の役割』ではないでしょうか。。。
そして”患者さん全体”に関心をもって対応したい。
薬剤師こそが「生活支援を行うことができる医療者」であるという自覚をもって頑張りたいです( *´艸`)
妊婦・授乳婦からの質問に答えよう!!!
最近、妊婦さんや授乳婦さんに出会うことが多いように思います!
少子化が訴えられているご時世としては嬉しいことですね(*^^*)
そういう場合に一番気になっているのは…やはり薬との関係…
ちょうど手元にやってきていた『クレデンシャル』で特集が組まれていたのでまとめてみました♫
◆妊婦・授乳婦の薬の基礎知識
【妊娠期の母体の変化】
妊娠10週まで…胎児のほとんどの臓器が形成される。ちょうど悪阻の頃。
母体の代謝の変化
・妊娠中は血症浸透圧が低下傾向になる。
・妊娠後期には非妊娠期と比べて薬6.5Lもの水分貯留が起こる。
・正常妊娠では、空腹時の軽度低血糖、食後の高脂血症、高インスリン血症が特徴。インスリン抵抗性も増大する。
・循環血液量の増加により、肝血流量、腎血流量ともに増加する。
【妊娠期の薬剤が胎児に与える影響】
・ほとんどの薬剤は胎盤を通過する
胎盤通過に影響を与える因子
たんぱく結合率、分子量、イオン化の程度、脂溶性の程度
・催奇形性…胎児の臓器が作られる妊娠初期
妊娠初期は薬剤の影響を最も受けやすく服薬に注意が必要(臓器のよって影響には差がある)
例)メトトレキサート、プロスタグランディン製剤
・胎児毒性…妊娠中期、後期
胎児の機能的異常や発育の抑制、子宮内の環境悪化、分娩直前の薬物におる新生児薬物離脱症候群、出産後の発育、発達に悪影響を与える
例)NSAIDs、ACE阻害剤、ARB
【薬剤が乳児に与える影響】
・薬剤の乳汁中移行に影響を与える因子
薬剤の分子量、たんぱく結合率、脂溶性、イオン化
分子量が大きく、たんぱく結合率が高いほど乳汁への移行量が少なくなる
脂溶性が高い薬剤は細胞膜を通過しやすいため母乳へ移行しやすい
・RID:乳児の薬剤摂取量(体重あたり)が母体への薬剤投与量(体重あたり)の何%に相当するかを示したもの
例)RID 10%=体重あたりの母親の治療量の10%を乳児が摂取する
→通常、RID 10%以下であれば安全と言われている
★母乳中の薬剤が乳児に与える影響は薬物動態だけではなく、児の月齢、母乳の割合によっても異なる。
母乳育児には母子ともに多くのメリットがあるため、安易に授乳を中止するのではなく、希望に応して出来るだけ母乳育児が続けられるようにサポートすることが大切。
◆妊婦、授乳婦の質問にこたえる
【妊娠期の質問】
①妊娠中にインフルエンザの治療はできますか?
妊婦がインフルエンザに罹患すると重症化しやすい
使用可能な抗インフルエンザ薬(A型、B型とも):リレンザ、イナビル、タミフル
発症後36~48時間以内の使用が望ましい
②腰痛で使用するシップは胎児に影響しますか?
外用薬が経皮吸収されて胎盤に移行する量はごくわずか
NSAIDs貼付剤は漫然と使用しない
(ケトプロフェンは血中濃度が上昇しやすいため、妊娠後期に胎児動脈管収縮の報告があり「妊娠後期の女性には使用しないこと」となっている。
③アトピー性皮膚炎でステロイド外用剤を使用しているが妊娠中でも問題ないですか?
一般的な臨床使用量、使用法であれば胎児への影響はない
自己判断で中止すると症状を悪化っせることがあるので注意
④便秘がひどく、妊娠に気づかずセンノシドを飲んだのですが大丈夫ですか?
妊娠中のセンナ、センノシドの使用で、ヒトの流産を含め明らかな有害事象の報告はない。(動物実験では子宮収縮の報告がある)
プロゲステロンの変化や子宮増大による圧迫で大腸の動きが緩慢となることが原因の機能性便秘が起こりやすい。
薬物療法の第一選択は塩類下剤(酸化マグネシウム)それでも効果がみられない場合は、大腸刺激下剤(ピコスルファートナトリウム、ビサコジル)を使用する。
⑤花粉症で点眼、点鼻薬が処方されたのですが胎児への影響はないですか?
点眼、点鼻薬の全身への移行量はごくわずかである
内服薬でも、抗ヒスタミン薬、ロラタジン、セチリジンは妊娠中の使用データが蓄積されてきている
⑥妊娠中の胸部エックス線検査の胎児への影響はありますか。
健康診断の胸部エックス線検査やシカのエックス線検査の被ばく量はごくわずか。
一般的な診断用の放射線検査で胎児に影響を与える被爆量になることは通常はない
(全期間を通じて100mGy未満であれば影響はないとされている)
【授乳中の質問】
①風邪をひきました。市販の風邪薬を飲んでもいいですか?
リン酸コデインは、乳幼児でモルヒネ中毒が生じたとの報告があるため注意が必要
アセトアミノフェン、イブプロフェンは乳汁中への移行量が少ない
一般用医薬品の風邪薬の構成成分や比率は製品ごとに異なるため個別に確認が必要
②授乳中でも飲める花粉症治療薬を教えてください。
点鼻、点眼薬は母親の血中に移行する量が非常に少なく、乳汁中に移行する量も少ない
内服薬でも、トラベルミン、デザレックス、アレグラ、クラリチンは乳汁中への移行が少ないとの報告がある
③虫歯の治療で抗生剤が処方されました。
抗菌薬を使用する際は乳幼児の治療にも使用されるペニシリン系、セフェム系が安全に使用できる
どの質問も薬局窓口で対応することがありそう。。。
妊婦、授乳婦に安心して薬を使ってもらい健康を取り戻してもらえるようにしっかりと相談に乗ることが出来るようになりたいと思います!